せとるこの日々

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じーちゃんのメモ書き

じーちゃんは体というか頭の調子がいい時に字を書くことができる。
4月1日は頭の調子が良かったようだ。
家に帰ると、じーちゃんの机の上に新しい元号を書いたメモ書きがあった。
夕方のニュースは新元号に関するニュースばかりだったので、それを見ながら書いたのだろう。
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元号を書いた下に『四月一日 はたぬき』という言葉も書いてあった。
「『はたぬき』って何?」
私が聞いた。
じーちゃんは突然止まった。

普通は何か思い出そうとする時、上を向いたり、目を閉じたり、「えーっと」と声を出したりするが、じーちゃんは止まる。
目を開けたまま微動だにしない。
電池が切れたおもちゃのようだ。
息も止まってるんじゃないかと思うほどずっと固まっている。
『はたぬき』の意味を思い出そうとしているようだが、思い出せないようだった。

「分からんか?」
私が声をかけた。
「・・・分からん・・・。」
やっと動いたじーちゃんは残念そうに言った。
「分からなくても、問題ないよ。私が調べておくよ。」
私はそう言って『はたぬき』を調べた。

『はたぬき』という言葉は無かった。
センバツ高校野球を見て「校旗がはためく」とアナウンサーが言っていたのが『はたぬき』になったのか?
いや、ちょっと違うなあ。
その前に四月一日という言葉もあったので『四月一日は狸』で検索してみた。
何も出てこない。でもタヌキが気になった。『四月一日 タヌキ』で検索した。
すると『四月一日ワタヌキ』という言葉が出てきた。

なんでも春になって綿の入った衣の綿を抜くことから、四月一日は『わたぬき』と読むらしい。
きっとニュースでそう言っていたのだろう。

じーちゃんに報告した。
「ほおー。」
じーちゃんは初めて聞くような反応をした。

まあ、字を書くことが出来る頭の状態であることに感謝しようと思う。