せとるこの日々

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ハトの巣

母が入院して数日後の土曜日に病院に行くと、看護師さんから母の家の鍵を渡された。
母に電話すると、失くすかもしれないから、鍵を持っていて欲しいとのことだった。

救急搬送されているので、生ゴミ等回収しに母の家に行った。
この10年くらい母の家には「入って」と言われなかったので、入っていなかった。
掃除をコマメにしていると言っていたので、安心していた。

だが、実際家に入ると、違った。目を疑った。
ペットボトルや服が散らかっている。
これって、認知症始まってる?
真夏に寒気がした。

とりあえず片付けをしよう。
土曜日はゴミを袋に詰めて、持ち帰った。

翌日曜日には旦那も付き合ってくれた。
「こりゃヤバいね。」
部屋に入って言った。

部屋の片付けをしながら、ベランダを見た。
あれ、卵が二つある。
えー、あれって、ハトの卵?

「ベランダにハトの卵がある!
住みつかれる前に処分しないと。」
と、私がビニール袋を取りに行った。
すると、旦那が、
「テレビで見たけど、ハトの卵って勝手に処分するのは法律で禁止されてるらしいぞ。」
と言った。

なんだって?
調べると、確かに『鳥獣保護管理法』というもので巣に卵やヒナがいるときはむやみに除去できないらしい。
なんて法律だ。
ハトの巣はとても不衛生なんて書いてあるのに。
せめて縁起がいいと言われるツバメの巣だったら気持ちも違っただろう。

名古屋市のホームページを見ても
『緊急に巣を除去する必要がなければ、ヒナが巣立ってからの除去にご協力ください。』
とあった。

卵からヒナがかえって、巣立つまでは約1ヶ月らしい。
いつ卵を産んだのか不明だが、母の入院が1ヶ月くらいと聞いていたので、退院までに片付くかな、どうかな、と思った。

片付けをしていると、いつの間にか親鳥が戻ってきて卵を温めていた。
こちらをちらっと見てから視線をそらして別方向をじっと見ていた。
他人の家を勝手に使っている自覚は無いんだろうなあ。

それからは、母の家の片付けに行く度にベランダを確認した。
まだ温めている。
今日も温めている。
まだ今日も・・・。

結局、母の退院までにはいなくならなかった。
だが、退院日に家に帰ると、卵が割れて、親も子もいなくなっている。
「いまだ!」
すぐに巣を撤去して、漂白剤で洗浄した。

盆休みに鳥よけネットを張ろうと思ったが、旦那が「上側の取り付けが大変だぞ」と難色を示したので、鳥よけ用の反射板をいくつか取り付けた。

その後、今のところハトは来ていないらしい。
このまま来ないことを祈る。

雑なつくりのハトの巣