せとるこの日々

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冬の思い出

じーちゃんがいなくなってもうすぐ5ヶ月。
おいしいものを食べた時、じーちゃんに食べさせてあげたいなあ、と思う。
おもしろいテレビ番組を見た時、じーちゃんに見せてあげたいなあ、と思う。
いないと思うと寂しい。
でも、じーちゃんがいない生活にも慣れてきた。

来週から寒波が来るとのニュースを見た。
寒い冬というと、じーちゃんの鼻水姿を思い出す。

数年前、じーちゃんは認知症だったが、まだトイレには一人で行けた。
私は温度の確認だけしに、夜中、じーちゃんの部屋に行っていた。
その日の夜中もトイレに起きたじーちゃんは部屋の暖房の温度を上げていた。
確認に行った私は、リモコンの設定温度を下げて自分の寝室へ戻った。

朝、朝食を用意して「おはよー!」とじーちゃんの部屋に入ると、無茶苦茶寒かった。
リモコンを見ると冷房になっている。
私が夜中、確認した後に、またトイレに起きたじーちゃんは、リモコンを触りまくって冷房ボタンを押してしまったようだ。

じーちゃんは「寒い・・・。」と言って鼻水を垂らしていた。
「冷房になってるよ!暖房にするよ!」
冷房だから寒いと説明して、暖房に変えて、灯油ファンヒーターを点けて、じーちゃんの鼻を拭いて、上着を着せた。

じーちゃんは震えていた。
あー、これは風邪ひいたかなー、病院連れて行かなきゃ駄目かなー・・・。
そう考えていた時、「ボンッ!」と音がしてテレビ画面が真っ暗になった。
じーちゃんはテレビの音に反応した。
真っ暗になったテレビを見て、じーちゃんの震えが止まった。

コンセントを入れなおしても電源が入らない。
「寒かったから、テレビも壊れたみたい!」
と私が言ったら、じーちゃんが驚いた顔をした。

購入して10年目くらいで、じーちゃんが家にいる時は点けっぱなしだったので、テレビも寿命だったのかな。
テレビ大好きなじーちゃんにテレビ無しの朝はいけない、と映らないテレビをすぐ撤去した。
他の部屋のテレビを持って来て繋いだ。

テレビが映ると二人で拍手して喜んだ。
その頃にはじーちゃんの部屋も暖かくなっていた。
鼻水も止まっていた。
寒かったことも忘れているようだったから、こっちも何も言わなかった。

そのまま私は仕事に行き、じーちゃんはデイサービスに行った。

あれはいつだったかなあ、と思って一行日記を見ると、3年前の12月、私が初めての抗がん剤治療をする3日前の出来事だったとメモしてあった。
そうだ、手術創の痛みも忘れてテレビを運んでいたんだ、と思い出した。

去年も一昨年も寒くなった時にこの出来事を思い出していた。
これからも冬になって、寒くなると、思い出す冬の思い出なんだろうな、と思う。

かわいいじーちゃんだったなあ。