せとるこの日々

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じーちゃんの顔剃り

先週の土曜日は祝日で、じーちゃんのかかりつけ医は休みだった。
かかりつけ医が休みの時のじーちゃんは悲しそうな顔をする。

なので、金曜日の夜まで土曜日が祝日だということを言わないでいた。
金曜日の夜に翌日の医者がないことを伝えると、
「なーんや。気が抜けた・・・。」
と、じーちゃんは悲しそうな顔をした。

祝日などでかかりつけ医が休みの日は、じーちゃんの好きな鰻を出してかかりつけ医が休みのショックをごまかしていた。
だが、ここのところ鰻を食べる機会が増え、そう喜びそうもないので、他の方法を考えた。

そこで思いついたのが、理容室に連れて行くということだった。

じーちゃんが上手く歩けなくなってからは、私がバリカンでじーちゃんの髪を刈っている。
ひげは、じーちゃんが電気カミソリとT字カミソリで剃っている。

年に1,2回「床屋でひげ剃ってもらいたいなあ。」と、じーちゃんは言う。
そんな時、私は「自分で十分キレイに剃れてるよ。」と答えて理容室に連れて行くことはなかった。

これは、理容室に連れて行けば、かかりつけ医が休みのショックも無くなるのでは?と思い、理容室を探した。

駐車場が店の目の前にあって段差のない理容室。
ちょうどよく行くスーパーの裏の道を通ったら希望の理容室を発見した。
こんなところに理容室があったのか。

家に帰って、じーちゃんに「顔剃ってもらいに行こうかー。」と言ったら、じーちゃんの顔がパッと明るくなった。

始めて行くその理容室は、夫婦と息子さんの3人でやっていた。
ソファに座って奥さんが私と話し、息子さんがじーちゃんの顔剃りとカットをとても丁寧にしてくれた。

ソファからじーちゃんの横顔を見ていたら、涅槃像かデスマスクかというくらい穏やかな顔をしていた。
気持ちいいんだろうなあ。

じーちゃんはかかりつけ医のショックも無くなり、この1週間はとても元気に過ごしてくれた。

上手く歩けなくなって約10年、理容室に連れて行かなかったのはちょっとかわいそうだったかな、と思い、これからは数ヶ月に1度くらいは連れて行こうと思った。