せとるこの日々

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母に会った

先週、実家の母が3ヶ月に1回の検査をした。
結果がその日に出るので夜に電話をして検査結果を聞いた。

母「右の肺が真っ白でね、もう駄目だわ。
10日前に眼科に行ったら、目の手術しないとだめだって言われたけど、断ってきたわ。
死ぬ前にあなたに会っておきたいわ。」

母は大袈裟な人だ。
ちょっとクセが強くて面倒臭い。

私「死にそうなら、今から会いに行くよ。」
母「今は寝るから土曜日に来てくれればいい。」
で、土曜日に行くことになった。

母は3年前から間質性肺炎を患っている。
病気はたいへんだと思うが、いちいち演技がかっているところが面倒臭い。

電話で「死ぬほど咳が出る。」と言うのに「どこかお店で話ができないかな。」と言う。
今のご時世、死ぬほど咳をする人は、お店に入るのを自粛しなきゃいかんだろう。

「家に上がって」とは言わない。
綺麗好きな人なので汚部屋ではないと思うが、ここ9年くらい母の家には入っていない。
死にそうなら、家で話すのがいいと思うが、「家に入れ」とは言わない。
こっちも「家に入れて」とは言わない。

なので、父のお墓まで車で30分くらいなので、墓参りの道中に車の中で話すことにした。

迎えに行くと、母は紙袋を持ってきた。
「おいしいパン屋さんのパンを朝買ってきたのよ。
持って帰りー。」

おいおい、死にそうな人が朝からバスに乗ってパンを買いに行くんかい。
心の中で突っ込んだ。

私「入院は必要ないの?」
母「まだ言われてない。」
私「酸素ボンベは?」
母「言われてない。」
まだ重症ではないな。

私「目の手術を断って、目が見えなくなったらどうするの?」
母「ギリギリになったら日帰りのレーザー手術がある。」
なんだ、日帰り手術が出来るんかい。

帰り際まで咳が出なかったので、
「今日は咳が出なくて良かったね。」
と私が言った途端に母は咳をゲホゲホしだした。
言わなきゃよかった。

貰った紙袋の中にはパンの他にジャムも3つ入っていた。
3つとも私が苦手なフルーツのジャムだった。
何十年と親子やってるのに嫌いな物を知らんのかーい!

ツッコミどころ満載だったが、一人暮らしの母も寂しかったんだろう。
「お義父さんどう?」
という質問が無かったので、じーちゃんが入院していることは言わなかった。

この日の母を見る限り、まだまだ大丈夫そうだった。
もう少し元気でいてくれますように。