薬の量は前回と同じだった。
いつものように3日目から動けなくなった。
だが、最後だと思うと苦しさよりも嬉しさが勝っていた。
「ヘロヘロなのに、楽しそうですな。」と旦那。
「楽しいのではなく、最後なので嬉しいのです。」と私。
とても単純な人間である。
だが、薬が蓄積しているのか、最後だからと体に気合が入っているのか、いつまでたってもだるさが無くならなかった。
前回は後半10日は動き回れたのに、今回は暇さえあれば横になったていた。
そしていつもなら後半になると食欲も戻るのだが、今回はいつまでたっても口がマズく、ひたすらコーンフレークに牛乳をかけたものをご飯替わりに食べていた。
はじめの1週間でシートマスクが無くなった。
「もう、抗がん剤治療も終わりだから、新しいのはいいや。」
と化粧水と乳液だけに戻したら、2日後に顔がボロボロになり始めた。
気休めのつもりでシートマスクをしていたが、実はちゃんと効いていたようだった。
急いでシートマスクを買いに走った。
その後少しは治まったが、まだボツボツしている。
友人から「知り合いががんになったの。」と連絡が来た。
「抗がん剤治療するなら、保湿よ、保湿!」
と返信しておいた。
爪の線も成長して5ミリくらい上まで移動した。剥がれかけたオペラ座の怪人のマスクみたいな爪達はまだそのままである。
ディープセラムも3本目に入った。
爪も最初にもっと保湿をしておけば違ったかもしれない。
剥がれかけた爪は、たまにゆらゆら動く。
何をするにも不便である。
ドセタキセルで学んだこと。
それは保湿が大事だということだった。