ドセタキセル1回目の点滴はルート確保がなかなかできず、10ヶ所くらい針を刺した。
その後1週間くらいは針を刺したところがテレビドラマに出てくる麻薬中毒の人の腕みたいに黒ずんでいた。
血管痛も続いた。
CVポートを埋め込んだら、それらから解放されるのだ。
CVポートにすることに迷いはなかったが、数日前に『CVポート埋め込み手術で肺に穴が開いた』という書き込みを見つけた。
やっぱり、リスクもあるんだなあ、と思うと少し緊張した。
温存手術の時とは違う部屋へ看護師さんと歩いて行った。
前の手術よりは小さめの部屋だったが、J-POPは流れていた。
手術台で横になったところで主治医が来た。
他に看護師さん1人と研修医らしき助手が2人いた。
「話しながらやりますけど、気にしないで下さいね。」
主治医が言った。
どうやら研修医に教えながら、埋め込み手術をやるようだ。
教えるということは、埋め込み手術に慣れているということか。
私はホッとした。肺に穴が開くことはなさそうだ。
看護師さんが点滴のパックを持ってきた。
(最後の最後に点滴ですかあ・・・。)
看護師さんが私の腕に針を刺すが、ルートは確保出来ず。
今度は研修医が私の腕に針をさすが、やっぱりルート確保出来ず。
「(ルート確保できなくて)難しいですねえ。」
研修医が言った。
「難しいでしょう。」
主治医が嬉しそうに言った。
(だからCVポートを入れるんでしょうが。)
私は心の中で言った。
その後、もう1ヶ所失敗してから、手の甲に刺してルートは確保できた。
体の上からシートを掛けられ、手術は見られないようになった。
「痛いときに動くと、危険なので、必ず声を出してくださいね。」
そう注意を受けた。
全身麻酔だったらあっという間なんだろうが、局部麻酔なので、ドキドキしながら手術が始まった。