秋になると、この辺りの和菓子屋さんでは、栗きんとんが売られる。
栗きんとんののぼりを見ると、ああ秋だなあ、と思う。
栗きんとんは、岐阜県中津川市が有名だ。
中津川には『川上屋』と『すや』という栗きんとんの老舗がある。
中津川の店舗には行ったことがないが、名古屋の百貨店でその老舗の栗きんとんは手に入る。
頂いたりもするので、年に数回、老舗の栗きんとんを食べる機会がある。
これが美味しい。
昨年の秋、10年振りにバイクに乗るようになった。
「バイクで中津川まで栗きんとんを買いに行きたい。」
バイクを再開してすぐ私が言った。
中津川までは家から国道を走って1時間半くらい。
チョイ乗りツーリングにはちょうどいい。
だが旦那は「面倒くさい。」と言って、栗きんとん買い物ツーリングは却下された。
残念だったが、まあ地元でも栗きんとんが買えるし、そう気にする事も無かった。
それが先週、旦那が「日曜日に中津川に行くか?」と言った。
おお、栗きんとんが買えるではないか!
喜んですぐ道を調べた。
川上屋が国道沿いにあって入りやすそうだった。
で、晴天の日曜日、久しぶりに国道19号を走った。
数キロ毎にあるコンビニの駐車場には必ずバイクが停まっていた。
「どこからこんなにバイクが集まってくるんだ?」
などと思ったが、私達もそのうちの2台なんだな。
あるコンビニの前を通ったら、こっちを見てエンジンを吹かすバイクが何台かいた。
「エンジン吹かすのは挨拶?それとも威嚇?」
バイクから降りた時に旦那に聞いた。
「吹かしたいだけだろ。」
と旦那が言った。
そうか、特に気にしなくていいんだな。
すれ違いざまに手を挙げて挨拶してくれるバイクもある。
そういう時は私は会釈を返す。手を挙げるのはちょっと恥ずかしい。
川上屋には迷うことなく到着した。
駐車場には誘導員が2人いた。
次から次へと車が入ってくる。
すごいなあ。
空いてるところにバイクを停めて、お店に入った。
お食事処があり、番号札をもらった。
15組待ち。
とりあえず、待っている間に持ち帰りの栗きんとんを買った。
袋を下げて戻ると、旦那が、
「帰るか。」
と言った。
旦那はこういう所で待つことを嫌う。
ああ、やっぱり・・・、と思いながらサドルバッグに栗きんとんを入れ、何も口にすることなく帰途についた。
帰りは山道を走って帰り、車も少なかったので、チョイ乗りツーリングには満足して家に着いた。
遅めの昼食をして、デザートに栗きんとんを食べた。
ああ美味し~い、と思っていると、旦那が一言。
「俺、『すや』の栗きんとんの方が好きなんだよな。」
何ーーー!
行く前に言わんかい!
また中津川に行くことがあったら、次回は『すや』の栗きんとんを買いに行きたいと思う。