せとるこの日々

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フンザでホワイトクリスマス

四半世紀くらい前、私はバックパッカーをしていた。
「ホワイトクリスマスなら、フンザが確率高いんじゃないですか?」
とインドで会った日本人旅行者が言った。
で、私は白いクリスマスを過ごすためにフンザに向かった。

フンザパキスタンの北西部にあるカラコルム山脈の山間盆地だった。
旅行者の間では、『風の谷のナウシカ』の舞台では?と言われていた。

”風の谷でホワイトクリスマス”、ミーハー心を躍らせるワードだった。

インターネットカフェが各地にできる数年前だったので、ガイドブックと安宿にある”情報ノート”に書きこまれた旅人達の情報を頼りに、旅をした。

色々なところでバックパックを担いだ日本人に会ったので、バックパッカーが流行っていたんだろう。

12月23日にフンザに入った。
数日前に降ったであろう雪が積もっていた。

安宿は確か2軒あって、2軒とも閉まっていた。
2軒目の前でどうしよう、と考えていたら、通りすがりの人が2軒目の宿の親父さんを呼んできてくれた。よかった。

宿代は1泊約80円にあたるパキスタンルピーだったと思う。
ストーブをくれて、夜は水道管が凍るから、水を必要分だけバケツに貯めておくように言って、七人の小人のような親父さんは去って行った。
別のところに住んでいるようだった。

念願のホワイトクリスマスをフンザで迎えた。
イスラム教のため、特にクリスマスの盛り上がりはない。
シーズンオフのため、街の8割方のお店は閉まっていた。

開いている店で、寒い中飲むチキンスープは美味しかった。
寒いので、外で出歩くよりも、部屋にいる方が長かった。

寝袋に足を入れて、ネパールで買った縦笛でナウシカの主題歌や挿入歌を吹いたり、本を読んだり、窓から外をボーっと眺めたりして過ごした。
今で言うクリぼっちだったが、楽しいクリスマスを過ごせた。

満足して12月26日にフンザを出た。
25日から雪が降り続けて結構な雪が積もっていた。
雪のため、隣町のバス乗り場まで行かなければいけなくなった。

宿の親父さんは、チェックイン以来宿に来ていない。
バスの時間もあるし、どこにいるのかも分からないので、3泊分約240円のパキスタンルピーとチップを少しベッドに置いて宿を出た。

隣町までは山を歩いて下った。
歩いてというか雪の中を滑って下りた。
とっても楽しかった。

クリスマスの今日、『風の谷のナウシカ』をテレビで放送するようなので、約四半世紀前のことを懐かしく思い出して書いてみたが、昔のことだけど結構覚えているもんだなあ。

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探したら当時のフンザの写真がでてきた。