せとるこの日々

更年期 ああ更年期 更年期

旦那の口癖

私の職場では、たまーに残業がある。
今年はじーちゃんのことがあったので、残業は断っていた。

じーちゃんが入院して、6月に今年初めての残業をした。

久しぶりに残業して、暗くなってから家に着いた。
駐車場から見えるじーちゃんの部屋は電気が点いていない。

去年までは残業して帰って来ると、じーちゃんの部屋は灯りが点いていた。
部屋に行くと、「おかえり、待っとったよ。」とじーちゃんは言った。

それが今はない。

じわーっと半泣きになって家に入った。

「じーちゃんの部屋が真っ暗で寂しいですー。」
旦那がいたので、私は言った。

旦那は「アホか!」と言った。

旦那は「アホか!」という言葉をよく使う。
「何言ってるんだ!」くらいの感覚だと私は受け止めている。

先週、7月になって初めての残業をした。

家に帰るとじーちゃんの部屋の電気が点いていた。
それを見たら、真っ暗だった時より涙が出てきた。
旦那が点けておいてくれたようだが、じーちゃんがいないのに電気が点いていると思うと、涙が溢れ出てきた。

「じーちゃんの部屋の電気が点いてて涙が出ましたー!」
涙をこぼしながら家に入ると、旦那は言った。
「アホか!」

2年ちょっと前に抗がん剤治療が辛かった時、私は旦那に、
「私が先に死んだら、じーちゃんはとっても悲しむかなあ。」
と呟いた。

「アホか!
ヘルパーさんなり世話してくれる人が来たら、認知症だからおまえのことなんてきれいさっぱり忘れ去るわ!」
旦那が言った。

そうか、私が先に死んだらじーちゃんは私のことを忘れてしまうのか。
何か悔しいな。
じゃあ、じーちゃんより先に死なないようにしよう、と思った。

とりあえず、じーちゃんは私を家族と認識したまま旅立ったように思う。

もっと優しい言葉で言ってもらいたい気もするが、「アホか!」は嫌いではない。